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ひとつの発見(その二)

~ 芋掘りの意味 ~

「薯」は山芋であって、薩摩芋でない

「越登賀三州志」で書かれている「薯」を漢和辞典で調べると、山芋を意味することがわかる。薩摩芋は甘薯と書き鹿児島県の特産品だったが、日本国内に広まったのは薩摩藩出身者が中央政権についた明治以後といわれる。

少し昔話に詳しい金沢人なら、藤五郎が掘っていた芋はジネンジョという、とりわけ粘り気の強い美味な山芋であることが知られているが、最近あきらかに薩摩芋と思われる、誤ったイラストが藤五郎伝説に使われていることが多くなっているのは残念だ。

「芋掘り」とは田舎者のことである

「国語大辞典」(小学館)という分厚い辞書には、「芋掘り」とは田舎者を意味する記述がある。もちろん芋掘り長者伝説についても触れられている。

「芋掘り」とは鉱山師が使う隠語であった

貴金属に関する通俗書の中では、良質な鉱脈を掘り当てることを「いもを掘る」と説明されている。「いもヅル」とか「金ヅル」という言葉は鉱山師が使い始めたという。

*「芋掘り=藤五郎の職業」という理解は、予断というものではないだろうか。

参考文献
「金城霊澤碑文の解説」(昭和39年:津田鉄外喜発行)
「金沢の昔話・民話」(昭和56年:金沢市教育委員会編)
「加賀・能登の文芸-古典編-」(昭和60年:三弥井書店刊)
「日本の民話400選」(昭和61年:金園社刊)
「伝説芋掘り藤五郎」(平成元年:本光他雅雄著/北國新聞社)
「加賀・能登の古典文学」(平成6年:能登印刷出版部)
「金沢市史」その他、多数あり